とある中堅ITベンダー保守担当の一日。

あるいは、今日僕を疲弊させた二つの業務について。

まずはひとつ目、iOSアプリのアップデート。

ちなみに僕はiOSはほとんど素人である。

だいぶ前から支給されていたMac がだいぶ古くXCode8.2までしかアップデート出来ず、このXCodeを使ってストア版のiOSアプリをビルドすることに。この古いXcodeが落とし穴になるとはこの時は思ってもみなかった。

証明書のダウンロード、秘密鍵ファイルのアップロード、プロビジョニングプロファイルの作成、ダウンロード…やっとすべて揃って、ビルドが通った。appstoreにいざアップロード!ここで、

「Xcode9以上でもう一度ビルドし直してください」

というアップル神からの無慈悲なエラーメッセージ。

社内の情報システム部に、「Xcode9以上がインストール可能なMac プリーズ!」と申請をあげる。

新しい MacにXcode10を入れ再度一から証明書関係作業もやり、再度ストアにアップロード!よし、今度は通った!無事アップロード完了のダイアログが出て喜んでいたのも束の間、appstoreconnectでブラウザエラーが出まくり。ひどい。ひどすぎる。これが時価総額世界一の企業のサービスか?ここは今日の心が折れる瞬間だった。バッドゲートウェイ、500エラーなど散々繰り返したが、しばらく粘っていると徐々に繋がるようになってきた。アップロード完了後のサーバ側の更新フローが進行していたのかな。ブラウザは徐々に動くようになってきた。しかし、しばらく新バージョンをリリースしていないアプリだったのでいろいろと規約が変わっているらしく、今回はどうやら支払いの新しい規約に同意しろと言われているらしかった。何も読まず同意して次へ。アプリの審査提出の画面がやっと拝めた。しかし提出するバージョンのアプリが選択出来ない。ひょっとして先にこちらで新バージョン用のページを作っておく必要があった?とにかくバンドルバージョン上げてもう一度ビルドし、再度アップロード。今この状態。続きは週明けである。やれやれ。

アプリ一個あげるのにこんなに苦労しなければならないなんておかしい!なんて心の中で叫びながらもくもくと作業すること2時間。まぁ月曜には審査出せるでしょ。

今日二つ目のビッグウェーブは、保守サービス提供中の顧客(超大手通信会社)からの問い合わせ対応。この保守サービスは協力会社さんに再委託しており私は進捗管理くらいしかしてないのだが、その協力会社さんがクライアントからかなりの質問責めにあっているらしく、困り果てて一次請けのウチに相談してきたのだ。

もちろん一次請けのカウンターとしてバックログでのやり取りを見てはいたが、読んでいて「わっかんねー」しか出てこないような日本語でOKなやり取り内容。

しかしリテラシーの高い本人たちには通じているらしかったので敢えて静観していたが、バトルは一向に止む気配がない。しかしここでこのバトルを丸く収めるようなアクションをすることこそが一次請けの存在意義と言い聞かせ。何度も何度も読み返すうちに何となく意味がわかってきた。客はただ真実が知りたい、けどわからなくて気持ち悪い、だから質問責めになる。協力会社さんはどうしてそんな無意味なこと聞くのか、意地悪をしているのではないか、と完全に頭に血が登ってしまっているようであった。二次請けばかり請け負っていると、下請け気質というか、こういう感性になりがちなのかもしれないと考えると、すごく暗澹たる気分になってしまった。僕はどんな視座からこのバトルに介入すべきか考えた。協力会社さんにはSOSを出されたこともあり、立場の弱い協力会社さんを庇うような立ち位置に立つ事に決めた。お客さんに対して、この件の主たる懸案は解決したこと、今指摘頂いている事象は想定外の操作による不具合事象であり、それにこれ以上保守時間を消費するのは勿体無いのではないですか、と円満なクローズに向かうようなコメントをバックログに書き入れた。これ一通書くのに、状況把握から整理、クローズへの道筋を立てた文章構成まで、2時間くらいかかったと思う。しかし何とか一次請けとしての役割を果たせた。その書き込みを見た協力会社さんからは感謝のメールを頂いた。僕は安堵した。だいぶ時間は取られたが、突き放すような視座に立たず、きちんと問題に向き合って回答して良かったと思った。これで収まってくれれば良いが。客からの返信はまだない。

今日はこの二つのタスクで疲弊し切ってしまった。そして帰るのがこの時間である。あと三駅で最寄りの駅に着く。帰ったら金曜だし、また晩酌をしてしまうのだろう。

かつて一緒に働いていた人たちに、dentaqさん、最近はそんなことやってるんだ〜、と思ってもらえたら、この記事は成功である。

前職は、書く仕事、つくる仕事しかしてなかったから、スキルアップなのかダウンなのか分からんが、全然違う事をやっているんだな、と感じられることは間違いないでしょう。

これはブログに記そうとたまたま思い立ったとある1日の例ですが、他にもサービス運用のためにさまざまな事をやっています。

こうしたスキルが普遍的なポータブルスキルなのか、特殊スキルなのか、僕にはよく分からないです。しかし、少なくとも、世の中にはいろんな仕事があるということはお判り頂けることでしょう。そして読んで頂いた方の知見が少しでも広がったならこの記事の役割は果たせたと思います。