salyu「ただのともだち」のミュージックビデオに、Web技術を使った双方向アートの新たなカタチを見た。

プレイをクリックすると、ディスプレイが4つのウィンドウに分割され、それぞれのウインドウがそれぞれ別のミニマルなリフレインを奏で、それぞれのループが有機的に重なり合い、ひとつの曲となる。
もちろん、曲の頭から終わりまで4つのウィンドウが奏でる四重奏をじっくり見ても良いし、ウインドウを閉じると当然そのパートのビデオは消えるので、ループ・シーケンサーのトラックミュートボタンを操っているような感覚でDJ気分を楽しんでも良かろう。
ユーザーが新たなストーリーを作っていけるというインタラクティブ(双方向)性ひとつとっても従来の音楽PVとは全く違う体験をユーザーにもたらしてくれる。

salyu「ただのともだち」
http://www.salyu.jp/salyuxsalyu/musicmixer/

そして、このミュージックビデオについて調べるとほどなく、Googleから「Chrome Music Mixer」というサービスにたどり着いた。すでに素材となるビデオが用意されていて、ユーザーは好きなビデオを4つセレクトし、すぐにそれらをミックスした作品を再生することができる。salyu「ただのともだち」もこのサービスを応用し作られたもののようである。

Chrome Music Mixer
http://www.morewithgoogle.jp/musicmixer/

Chrome Music Mixer」に実装された画面4分割を実装するJavaScriptのソース部分。縦横無尽なJSのイベントハンドラで操作されていることがわかる。
http://www.morewithgoogle.jp/musicmixer/js/chrometube.js

個人的には、かつて宅録少年だったころには、ラジカセ2台の多重録音から始まり、MIDIハードディスクレコーダーDAWと変遷してきたが、原点は「音をいくつも重ねていける」ということに対する喜びであった。
時は流れいまや誰でも音のみならず映像をこんなに手軽にミックスし楽しめる時代になった。
これからのクリエイターは音と映像の垣根はどんどんなくなる。そして双方向性、ユーザー参加型の要素があるという点もWeb時代の大きな特徴。Webの進化が新たなコミュニケーションのカタチをどんどん開拓している。