プログラマー現役続行 (技評SE新書)

途方もない世界に足を踏み入れ始めているのかもしれない、しかも三十台半ばにして。
それが読後の偽らざる感想である。
もともと私とデジタルとの出会いはDTMであり、MIDIを使ったデジタルコンテンツを作って納品する、という業務を自宅で行う個人事業主であった。そして33歳のとき、次のステップとして、音楽を極める方向と、ITを極める方向の二つの分岐点にたたされたとき、後者を選んでしまったのである。
DTM業務時代から触れていたFlash、そして個人的な興味から学んだHTML+css/Photoshopなど無理のないところから入り、今はjQueryPHPをみっちりと身に着けようという段階に入ってきている。
かなりスロースターターではあるものの、ITという広大な畑を今から時間の許す限り、耕せるだけ耕そう、そしてそこで得たFruitsを、味わえるだけ味わいつくそう、という決意のもと、日々研鑽を重ねている。
それと平行して、TOEICなど英語の勉強は続けている。
ITは最新情報が英語による情報なので、英語力が必要なのだ。
本書は「プログラマー35歳定年説」がささやかれる中、40代の現在も現役でプログラマーを続けている著者による、現役続行するための処方箋である。
私自身、ちょうど今35歳。本格的にWebデベロッパーを始めてようやく2年である。
始めた年を考えると、普通、定年説を少なからず意識してしまい、技術者は鼻からあきらめて営業やマーケティングといったストラテジ的な方向に向かうだろう。
実際私自身、営業やマーケティングに大変興味がある。30代半ばになると、だいぶ視野が広くなってくるから、10代や20代に比べてスケールの大きなことも考えられるようにもなってくる。
しかし今は、新しいことを始められる最後のチャンスを手にしたのだから、技術をまず習得したい。この知識経験を土台に、営業やマーケティングについて考えてもそう遅くはないのではないか。そう考えている私にとって、本書は大変心強い内容であった。
またこの本の著者のストイックさ、これには本当に感銘を受けた。
残念ながら、自分にはこのような技術力も精神力も持ち合わせがないが、少しでも見習いたい、そう思った。