Web業界人のワークライフバランス

「ワーク(仕事)とライフ(生活)のバランスが大事」
わかるけど、プロなら24時間仕事のことを考えてるものだし、寝食忘れて開発に没頭したい人にとってはたとえば夜8時になると強制的に電気やPCが消えてしまうオフィス(実際に存在するらしい)なんて苦痛以外の何物でもないし、たまに早く帰れても途中下車で本屋に寄って仕事関係の本を漁ったり、と、結局ワーク=ライフになっちゃってバランスもへったくれもなくなっちゃってる人も多く、一般企業人の通念がそのまま通用するというわけにもいかないと思われるこの業界。しかし一方、たまにパァーっと遊んだり、フラっと遠出をして自分をリセットすることで次に向かえたり新しいアイデアが浮かんだりする経験がある人も多いだろう。
僕が昔ミュージシャン稼業をしていた時、あまりのハードワークにあるプロデューサーに「これじゃあ労基法に抵触しますよ」なんて軽口をたたいたら「ミュージシャンに労基法なんてものがあるか」とピシャリやられた記憶がある。確かにミュージシャン稼業は労基法なんて気にしてやってられる仕事ではない。どっかでライブがあれば車で飛んでいくし、作曲の依頼があればどんなにノー・アイデアだろうがどんなに風邪で高熱が出ていようがきちんと締め切りまでに曲を作って送らなければならない。「何もないところに何かを創出するのがプロだ」とは某作家の言葉だが、けだし名言である。
さて翻って、Web業界はどうだろう。この業界も好きでやっている人でないとやってられない、という点ではミュージシャン稼業と同じだが、ワークライフバランスに対する考え方は千差万別と思われる。ワークライフバランスの潮流に賛同する人ならば、一般のビジネスパーソンと同じレベルで実践している人もいるだろう。曰く「労働時間が8時間を超えると仕事の効率が急激に悪くなる。そんな状態でいくらやっても無駄無駄。帰って家族や友人との時間を大切にするべき」、もっともな意見だし私も大賛成である。しかし一方で、好きで始めたこの仕事、寝食を忘れるほど没頭し、「納期前だったから3徹したけど、いいものができたよ」なんてさわやかな笑顔でさらっと言ってのけるWebディレクターを私は知っている。私は寝ないと駄目な人なので、こういう「寝ないで何かを完成させる」タイプの人はそれだけで無条件に尊敬する。
また、ある本で読んで忘れられないのは、とあるアメリカの著名なプログラマーの話。その人はスキーが大好きで、冬になるとずっとスキーで山を登ったり降りたりしている。そんな中である瞬間、アイデアが浮かぶと、山小屋に戻り、そのアイデアを書きとめる。そしてまたスキー場に戻る。そんな「仕事」の仕方をしている人もいるそうだ(傍から見ると、遊んでいるようにしか見えない)。
とにかく、結果が大事な世界なだけに、プロセスは百人いたら百通りの解答があるのが、IT業界人のワークライフバランスの実態なのではなかろうか。
ちなみに私についていうと、昨日は23時まで仕事、今日は一転、20時に上がったものの、秋葉原「書泉」の技術書籍コーナーに立ち寄り、ふと、こんなことを考えた、という次第である。