日経文化面連載「革新的アーティスト十選」(by 佐藤可士和)

佐藤可士和氏といえば、つい先日ユニクロでも名前を見かけたし
(※毎年恒例デザインTシャツのデザイナーの一人。ちなみに今年は他にコーネリアスなどもあり、個人的にいろいろと興味深かった・・・が話が脱線してしまうのでまた別の機会に;)、
本業のアート・ディレクター以外でも本が売れたりと、大変露出の高い「旬の人」という感じだが、5/6より、日本経済新聞の文化面で「革新的アーティスト十選」という連載が始まった。
日経は昨年の転職活動をきっかけに一年近く読んでいるが、こんなところにも氏の名前を見つけ「おやっ?」と思い、興味深く読み始めた。
広告業界という華やかな世界の「時代の寵児」が、日本経済新聞といういわば「お堅い」メディアに連載を持つというギャップが面白いと思ったのだ。
さてその内容は、アートに対する広範な知識に裏付けされた、大変示唆に富んだ内容で、切り口・視点も大変ユニークで、とても興味深く読んでいる。
第一回目はデュシャンの「泉」が取り上げられている。
この作品を見て世の人々は「作るとは何か?」を大いに考えさせられたが、氏は自分にとってのクリエイティブの定義や価値観を刷新するほどの「勇気をもらった」と述懐している。
重要なのは、技術というよりも、むしろ新しい価値観を提示する思想や感覚である、と。
このように、氏の連載は「アート批評」という枠を簡単に超え、「現代社会で創作行為を行うとはどういうことか」という根源についての問いに昇華されているため、その内容は、クリエイティブな仕事に従事するあらゆる人(美術家、音楽家、作家、デザイナー、etc.)にとって共感できる、という点で、万人必読といえる。